日本にシャンプー出回り始めた昭和30年ごろのシャンプーはABS系(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)といわれる「合成洗剤系シャンプー」が中心でした。俗に言う石油系の合性洗剤です。台所用洗剤と同じで、汚れはよく落ちますが、皮膚に対する毒性が強く、髪の中のたんぱく質なども分解し、外へ出してしまうので、髪を傷める原因をつくりました。まさに、枝毛や切れ毛を気にする人たちが急に増え始めたのもこのころでした。
次に登場するのは、「高級アルコール系」と言ってヤシ油を主原料としたシャンプーです(ちなみに「高級」とは、炭素分子が多くて分子構造が複雑という意味です)。これが現在市販されているシャンプーに最も多く見られるものです。
しかしこれも、100%、ヤシ油が原料ではなく、化学的に合成された界面活性剤が混じっているものも多く、特に合成界面活性剤のところでお話ししたラウリル硫酸塩類などが混ぜてあるため、髪のキシミやパサツキを完全になくすことはできません。特に、パーマをかけた髪や、ヘアカラーを施した髪、ダメージヘアには髪のキシミが出るため向きません。
そこで、自然回帰ブームにのって登場したのは「石けん系シャンプー」です。これは、河川を汚さないので環境には良いのですが、アルカリ性ですので頭皮には刺激が強く、残留アルカリが髪に残りやすいのが間題です。髪のパサツキやキシミの原因になったり、アルカリの働きで髪の中のたんぱく質が外に流れやすく、ヘアカラーの色が抜けやすいなどの欠点がありました。
ただし、最近の石けん系のシャンプーには、カチオン活性剤などで弱酸性に転移させたものも出回っていますし、リンスさえしっかりすればさほど間題はありません。
最後に登場するのは、究極のシャンプーとも言われている、髪や肌と回じ成分を原料にした「アミノ酸系のシャンプー」です。これは次頂でくわしくのべます。
では、以上の四種類のシャンプーについてさらに詳しく見ていきましょう。
界面活性剤を石油から合成したもので、原料が安い、強力な洗浄力があり汚れがよく落ちてサッパリする、色や香りがつけやすい、などの特徴があります。
その反面、肌に対する毒性が強く、強力な脂肪分解力のために髪や肌が乾燥し、髪の傷みの原因となり、長く使用すると新しく生えてくる毛髪がやせるなどの現象が起こりやすい。このため現在ではABS系のシャンプーはまったくと言っていいほど製造されなくなりましたが、同じ石油系で毒性の低いソフトタイプのAES系(アルキルエ士アルスルホン酸)はまだ一部で使われています。
しかしこれらは、美容のプロとしては絶対お勧めしたくない商品です。
現在、市販されているシャンプーのほとんどがこのタイプ。
ヤシ油を原料とした界面活性剤を使っていますが、純粋のものは髪や肌にはやさしい代わりに洗浄力か弱く、このためほとんどが合成界面活性剤を混入しているのが実情です。指定成分として書かれている「ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩」「ラウリル硫酸トリエタノールアミン」というのがそれです。確かに洗浄力や泡立ちはよくなりますが、髪の中のマトリックス中のケラチンなどを流出させてキシミやパサツキが出やすく、ヘアカラーの色落ちも早いという難点があります。
そのため最近では、手ざわりやツヤを良くするため、シリコン(ケイ素)などを混入した製品が増えていますが、シリコンとはあくまでも鉱物なので、特に分子の大きいものは傷んだ髪の中に残りやすいのでご注意を。パーマがかかりにくくなったり、ヘアカラーやヘアマニキュアが入りにくくなって色がムラに染まったりするということもあります。このためシリコン入りのシャンプーも私はお勤めしたくありません。
動植物油脂とアルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)ズ右けんができます。戦後のシャンプーが出始めのころは、このタイプが主流入収初は粉末でした!)でしたが、合成洗剤系のシャンプーが出てからはすっかり市場から姿を消しました。ところが近年、自然回帰主義者や環境保護主義者たちにより復活しました。しかし、環境にやさしくて肌にも害がないといわれる石けんシャンプーにも、多くの間題点があります。それは、アルカリが強いので、残留アルカリによって髪の中のマトリックスである毛髪たんぱく質を少しずつ外に流し出すため、長い期間使うと髪が乾燥して傷むことです。特に、パーマをかけた髪やヘアカラーをしている髪は、それが顕著に出ます。また、ヘアカラーやヘアマニキュアの色が落ちやすいのも欠点です。
アルカリ性なので、必ずリンスで中和しないと、頭皮に細菌が繁殖しやすく、髪が臭ったり、カユミが出る原因となります。
ただ洗浄力はあるので、髪が汚れやすい職場にいる人や、男性や脂性の人には、さっぱり感が喜ばれます。
最近の石けん系シャンプーには、残留アルカリが残らないタイプや、はじめから弱酸性に転移してあるものも出回っています。ただし、コストを下げるためや弱酸性にする製造過程で合成界面活性剤を混人したものがあるので、消費者にとっては判断するのに非常にまぎらわしいのです。
それらの間題点を含めて、環境にやさしく安価であるこのタイプのシャンプーも、健康で傷みのない髪のかたを除いては、私はあまりお勧めできません。
髪の毛や皮膚の成分でもあるアミノ酸を界面活性剤として使ったのがアミノ酸系シャンプーです。アミノ酸の中でも主に髪の中にも含まれている成分であるグルタミン酸を使います。皮脂と同じ弱酸性なので、肌にやさしく、乳幼児や肌の弱いかた、アトピー体質のかたにも安心して使えます。髪だけではなく、顔や全身も洗えるのも、嬉しい特徴です。
これを使えば、相当に傷みがひどい髪やクシやブラシが通らないような髪でも、洗った後リンスやトリートメントをしない状態でも、クシやブラシが楽に通ります。
また、髪の中のマトリックスであるたんぱく質を外に流しませんから、傷んだ髪やヘアカラーの髪、パーマヘアには最適です。特に、クセ毛の人には、髪の中の水分保留力が徐々に増してくるためクセが目立たなくなるので、最高のシャンプーです。
しかし、この良いことずくめのシャンプーにもまったく欠点がないわけではありません。原料であるグルタミン酸はバイオ技術でっくられるため、商品価格が高くなってしまうこと、それに洗浄力が高級アルコール系や石けん系に比べやや劣ることです。
また洗った後、髪にアミノ酸の膜が張られて少しヌルヌル感があり、サッバリしないかもしれませんが、毎日髪を洗う人には、むしろ理想のシャンプーと言えます。
ただこのタイプでも、最近では価格を抑えるために、たとえアミノ酸系と表示してあっても必ずしも100%アミノ酸のものばかりではなく、石けん系や高級アルコール系を混ぜたものが出回っています。これらを見分けるには、保存料や酸化防止剤(パラブノ、エデト酸塩。製品を酸化・腐敗させないため必要)以外の指定成分(ラウリル硫酸塩類など)が書かれていないかチェックすること、またあまり低価格のものもお勧めできません。